上橋菜穂子さんは、今年の3/24、国際アンデルセン賞を受賞されました。
国際アンデルセン賞とは、こちらの記事をご覧ください。
【国際アンデルセン賞】
上橋菜穂子さんは、1962年7月15日生まれの52歳。
東京都生まれです。
代表作は、
「獣の奏者」・「精霊の守り人」などです。
【獣の奏者 計5冊セット】
「獣の奏者」は、1~4巻と外伝の5冊出版されています。
2009年にNHKにて「獣の奏者エリン」という題名でアニメとして放送されていました。
1-2巻は、フランス・ドイツ・スウェーデン・タイ・韓国・台湾で翻訳されています。
【守り人シリーズ 全12冊セット】
「守り人シリーズ」は、1~10巻と外伝2冊の計12冊が出版されています。
シリーズあわせて、130万部を超えるベストセラーとなっています。
こちらも各国で翻訳されており、アメリカ・イタリア・スペイン・ブラジル・フランス・中国・台湾で出版されています。
2007年には、アニメでも放送されました。
以前、NHKの「インタビューここから」で上橋菜穂子さんが出演されていました。
その中で、高校生時代によんだ一冊の本を紹介されていました。
「第九軍団のワシ」
ブリトン人との戦で傷を負い退役したローマの軍人マーカス・フラヴィアス・アクイラは、彼が奴隷にしていたスコットランド人エスカとともに、かつて父が指揮を執り、ブリテン北部で消息を絶った第9軍団ヒスパナの行方を探る旅に出る。
元ローマ兵の士官と奴隷との旅。
立場・文化が全く違う2人が話し合いをしていく間に次第にその違いをわかりあり、そして乗り越えていきます。
異なる立場、異なる歴史、大きな溝のある人たちが集団として出会うと争いがおきてしまう。
しかし、人と人とならその溝を超えられるかもしれない。
と作者のローズマリー・サトクリフは、その本の中で語っているそうです。
また、上橋菜穂子さんは、文化人類学者でもあります。
大学院時代に研究のために訪れたオーストラリアで、一人のアボリジニのおばあちゃんに出会いました。
周りの多くの人から親しまれ、尊敬されていたそのおばあちゃんは、
他の人が信じている考え方を最初から否定することをしたくない。
それぞれみんないろいろな考え方を持っていて、一つの社会の中を生きているから、お互いがお互いの立場を考えながらやっていかなきゃと思うんだよ。
と、力みのない口調で話してくれたそうです。
その考え方が、大きな衝撃であったそうです。
上橋菜穂子さんにとって、それが、人間の現実可能な理想像でした。
もしこの世に中にまったき悪というようなものがあって、その悪に対して人が何かをすればよいのであったら、こんなに楽なことはない。
と子供のころから思っていたそうです。
どの人も悪くない。みんな一生懸命に生きている。でもそれがうまくいかないということが、私にとって深刻な問題。
善悪を書くつもりはない。
上橋菜穂子さんは、たくさん読んだ本の中から、そして、実体験のなかから、一つの出来事も、それを見る人の立場・文化・考えの違いで、見え方が変わってしまうという価値観の多様性というものの重要さを感じ取ってきました。
そして価値感の多様性というものを物語を通して伝えています。
今回、受賞した国際アンデルセン賞の選考委員の講評は、
文化人類学の視点から、ユニークなファンタジー小説を書いている。
土地の風景や神話の創造のみに甘んじることなく、身分制度の在り方に触れ、また霊的・倫理的領域が互いに及ぼす影響を描いている。彼女の作品の中では、世界は単なる空間ではなく、別の次元に属する世界がつながり合い、関わり合う。
作品には、知を備えた全ての生き物や自然に対する慈しみと深い敬意が表れている。
今回の受賞も、作品の土台となっている価値観の多様性というものが、評価されており、上橋菜穂子さんも、その部分が評価されたことが一番うれしいとおっしゃっていました。
上橋菜穂子さんの作品である「守り人」シリーズのドラマ化が決定しました。
2016年から3年にわたって全22回放送されるそうです。
主演は、綾瀬はるかさん。
しばらくは、上橋菜穂子さんから目が離せません。