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  1. 新潮ドキュメント賞 佐々木実「市場と権力」

    谷崎潤一郎賞に続き、先月の8月30日に第12回新潮ドキュメント賞が決定しました。

     

    新潮ドキュメント賞は、

    ジャーナリスティックな視点から現代社会と深く切り結び、その構成・表現において文学的にも良質と認められる作品一篇に授与する。(新潮社HPより引用)

    という規定により選出されます。

    公募ではなく、前年の7月1日から当年の6月30日の間に書籍化された、又は、雑誌に掲載された作品から選ばれます。

    副賞は100万円です。

    今回の受賞作は、佐々木実さんの「市場と権力 「改革」に憑かれた経済学者の肖像」です。

    著者の佐々木実さんは、1966年生まれの47歳。日本経済新聞社を1995年に退社して、現在はフリーのジャーナリスト。

    市場と権力 「改革」に憑かれた経済学者の肖像」という作品は、

     

    歴代の受賞作には、拉致被害者の蓮池薫さんの「半島へ、ぶたたび」や、元外務官僚の佐藤優さんの「自壊する帝国」などがあります。

    2001年からの小泉内閣の時、経済財政政策担当大臣や修正民営化担当大臣などなど活躍された竹中平蔵さんについての作品。

     

    佐々木実さんは、月間現代の2005年12月号の「竹中平蔵 仮面の野望」という雑誌記事で、竹中平蔵さんが博士を取得した論文は盗用されたものと指摘しています。

    gekkanngenndai200512

     

    経済学者ではなく、政治家。

    出世欲。

     

    竹中さんの顔からはとても想像できない本質なのでしょうか?

     

    以前ほどメディアの露出がすくなく、第一線から退いたと思っていました。

    しかし、この作品の帯には、

    「竹中平蔵が次に狙うものは!?」

    という文字が。

     

    ダークな世界です。

     

    sijyoutokennryoku

  2. 月間ベストセラー 2013年7月期

    2013年7月期の月間ベストセラーが出版科学研究所から発表されました。(単行本総合)

    第一位 「野心のすすめ」 林真理子さん

    第二位「医者の殺されない47の心得」 近藤誠さん

    第三位「海賊とよばれた男 上・下」 百田尚樹さん

    でした。

     

    その中から、第二位の「医者の殺されない47の心得」について。

     

    isyanikorosarenai47nokokoroe

     

    この本は、2012年12月13日に発売されました。

    そして、2013年2月期に月間ベストセラーの第6位にランクインしてから、3月期1位、4月期3位、5月期2位、6月期2位と上位をキープしている注目の一冊です。

    本の題名は、いかにも反医学、反医者といった感じですが、この作者の近藤誠さんは、慶応義塾大学医学部の医者で、現在は、慶応義塾大学医学部の専任講師です。

    医者側、病院側の人間です。

     

    その医者側の人間である作者は、これまでの数多くの本を出版し、抗ガンを使った従来の治療方法を真っ向から批判しています。

     

    「医者の殺されない47の心得」でも

    第2章患者よ、病気と闘うな

    心得14「抗がん剤を使えば寿命が延びる」と言う医者を信用するな

    と書かれています。

     

    この近藤誠さんは、当時日本では全く行われていなっかった乳がんの乳房温存治療法の普及に取り組み、「勝手に乳房を切り取るのは、外科医の犯罪行為ではないか」という論文も発表しています。

     

    これまでの正統路線から逸した異端児です。

     

    極論を展開してるため、かなりの批判も受けているようです。

    しかし、抗がん剤治療や手術など、説明不足で納得できないまま治療をしてきた患者さんたちからの同意・共感が多いことも確かです。

     

    また、

    乳房温存療法のパイオニアとして、抗がん剤の毒性、拡大手術の危険性など、がん治療における先駆的な意見を、一般人にもわかりやすく発表し、啓蒙を続けてきた功績

    から第60回菊池寛賞を受賞しました。

    菊池寛賞とは、日本文化の各方面に遺した功績を記念するための賞。文化活動一版において最も清新且つ創造的業績をあげた人、あるいは団体に贈られる賞。)(文藝春秋HPより引用)

     

     

    ガン治療に関しては、現在、まだまだわからないことが多いようです。

    そして、説明や選択肢のない病院での治療に不信感を持っている方も少なくないでしょう。

     

    実際、当事者となった時を想定し、知識を得て、自分なりの考えを持っているべきだと感じます。

    売れているのは、そんな理由からなのかもしれません。

  3. 谷崎潤一郎賞 川上美映子さんの「愛の夢とか」

    一昨日の水曜日(2013/8/28)、第49回谷崎潤一郎賞が決定しました。

    川上美映子さんの愛の夢とかが受賞しました。

     ainoyumetoka

     

     「愛の夢とか

    講談社

    「アイスクリーム熱」・「愛の夢とか」・「イチゴ畑が永遠に続いてゆくのだから」 などの7つ物語からなる短編集です。

     

    何気ない日常がゆらいで光を放つ瞬間をとらえた、心ゆさぶる7ストーリーズ (講談社HPから引用)

     

     

    谷崎潤一郎賞は、1965年に、中央公論社に創設されました。

    明治・大正・昭和を通じて、幅広いジャンルで活躍した谷崎の業績にちなみ、時代を代表する優れた小説・戯曲を顕彰します。

    (中央公論社HPより引用)

    歴代の受賞作品には、

    桐野 夏生 「東京島」

    瀬戸内寂聴 「花に問え」

    村上春樹 「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」

    などなど。

     

    今回受賞された川上美映子さんは、1976年8月29日生まれの、37歳。

    昨日が誕生日で、一昨日が受賞。

    おめでたい。

     

    芥川龍之介賞中原中也賞などなど数々の受賞歴をもつ作家さんです。

    作家のほかに、ミュージシャンや女優もされているようです。

    すごい人です。

     

    川上美映子さんのほかの作品は、

    「乳と卵(ちちとらん)」(芥川龍之介賞受賞作)

    「先端で、さすわさされるわそらええわ」(中原中也賞受賞作)

    「そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります」(随筆集)

    などなど。

     

    私は、川上美映子さんの作品を読んだことがありませんでした。

    ぜひ読んでみたいです。

  4. 定価の高い本は高く売れる

    どんな本が高く売れるかの 5つ目。

    それは、定価の高い本です。

     

    人気のある本は、古本の価格が限りなく定価に近い価格で売買されます。

    そして、新品がある場合は、古本は定価以上の価格にまずなりません。

    (初回限定特典など特殊な条件の場合は除きます。)

     

     ですから、定価の高い本の方が、定価の安い本よりも、高く売れる可能性が高いのです。

    (定価の高い本が、どんな本でも必ず高く売れる訳ではありません。人気がなければ定価が高かろうが関係ありません。)

     

     

    どんなに人気があっても、600円や700円など、定価の安い文庫本や、新書などの買取価格は、安くなってしまいます。

     それにくらべ、専門書などは、定価で3,000円や5,000円などざらで、そういった定価の高い本は、需要が高ければ、買取価格も高くなります。

    もともと払った値段が高いのですから、ごくあたりまえのことです。

     

    例えば、「永遠の0(ゼロ)」という本。

    著者は、昨年「本屋大賞」を受賞された百田尚樹さん。

    現在、とても注目度の高く、大人気の本です。

    この本は、現在、単行本文庫の両方が販売されています。

     

    この「永遠の0(ゼロ)」の文庫本の定価は、920円

    そして、中古販売価格が、およそ700円

    定価の13%引きという高値で古本が売買されています。

     

    もう1つは、「永遠の0(ゼロ)」の単行本

    定価が、1,680円

    中古販売価格は、およそ1,300円

    定価の22%引きで売買されています。

     

    人気がある本なので、限りなく定価に近い価格で、中古の本が売買されています。

    そして、同じ本でも、単行本と文庫本では、定価に違いがあるので、 中古販売価格共に差があります。

     

    同じ本でも定価の安い文庫本よりも定価の高い単行本の方が、高く買取られます。

     

    本をお売りになる際のちょっとした目安になるのでは。

  5. トリソミー 小学館ノンフィクション賞

    第20回小学館ノンフィクション大賞に、松永正訓さんの「トリソミー 生まれる前から短命と定まった子」が選ばれました。(H25年7月26日)

     

    小学館ノンフィクション大賞とは、

    未発表のノンフィクションで、現代社会に問題を提起しつつ読むひとの感動を喚起し、癒しをもたらす作品

    として、4月締切で募集されました。

    賞金は、500万円。

     

    今回受賞された松永正訓さんは、1961年生まれの52歳。松永クリニック小児科・小児外科の院長。

     

    本の題名である「トリソミー」とは、染色体に異常がある状態のことです。

     

    通常、2本1対で22対ある染色体が、1本過剰な対がある状態です。

    22対のどこかに異常がある可能性がありますが、比較的多い症例が、

    13番目の対の異常である13トリソミー(パトウ症候群)

    18番目の対の異常である18トリソミー(エドワーズ症候群)

    21番目の対の異常である21トリソミー(ダウン症候群)

    です。

     

    今回松永正訓さんは、「トリソミー 生まれる前から短命と定まった子」で、13トリソミーの赤ちゃん朝陽君とその家族を描かれました。

    13トリソミーの赤ちゃんの出生頻度は、約5,000人に1人。

    生後1ヵ月以内に50%、1年以内に90%が亡くなってしまいます。

     

    朝陽君は、2歳の誕生日を迎えたそうです。

     

     

    来年(2014年)の上半期には小学館から、本になって出版されるでしょう。

    ぜひ読んでみたいです。