本日5月15日、第27回三島由紀夫賞が決定します。
三島由紀夫賞とは、新潮社が主催する文学賞で、
文学の前途を拓く新鋭の作品一篇に授賞する。
と規定されています。
選考委員は、
川上弘美さん、高村薫さん、辻原登さん、平野啓一郎、町田康さんの5名。
今回の候補作品は、5作品。
「自分を好きになる方法」
著者:本谷有希子
出版社:講談社
16歳のランチタイム、28歳のプロポーズ前夜、34歳の結婚記念日、47歳のクリスマス、3歳のお昼寝時間、63歳の何も起こらない一日...ささやかな孤独と願いを抱いて生きる女性の一生を「6日間」で描く、新境地長篇小説!
著者の本谷有希子さんは、1979年生まれの35歳。昨年、「嵐のピクニック」で第7回大江健三郎賞を受賞。その他、声優、ラジオパーソナリティー、劇団の演出家などもされていました。
「さようなら、オレンジ」
著者:岩城けい
出版社:筑摩書房
オー ストラリアの田舎町に流れてきたアフリカ難民サリマは、夫に逃げられ、精肉作業場で働きつつ二人の息子を育てている。母語の読み書きすらままならない 彼女は、職業訓練学校で英語を学びはじめる。そこには、自分の夢をなかばあきらめ夫について渡豪した日本人女性「ハリネズミ」との出会いが待っていた。
この「さよなら、オレンジ」は、第29回太宰治賞受賞作品であり、著者岩城けいさんのデビュー作です。第150回芥川龍之介賞の候補作、2014年本屋大賞ノミネート作品にもなりました。
「太陽」
著者:上田岳弘
出版社:「新潮」
新宿の安ホテルでの大学教授と風俗嬢の出会いから始まる物語は、たちどころにアフリカ中央部へ、パリ十八区の蚤の市へと飛躍し、各地の登場人物た ちの運命が絡み合い、太陽の核融合システムや錬金術史が作中に織り込まれ、ついには人類の進化、果ては地球の終焉まで描かれるのだから。
この作品は、第45回新潮新人賞を受賞されています。
「マダム・キュリーと朝食を」
著者:小林エリカ
出版社:「すばる」
北の町を猫たちが十年前に「乗っ取った」という説明から始まる。「大きな地震と津波」がやってきて、「放射性物質という私たちの目には見えても人間の目に は見えないものが空から降ってきて」、人間たちが逃げ出し、猫たちがそこを自分の町にしてしまったというのだ。明らかに二〇一一年三月の大震災と原発事故 を踏まえた設定である。
著者の小林エリカさんは、1978年生まれの、36歳。「終わりとはじまり」・「光の子ども」など、マンガも描かれています。
「徘徊タクシー」
著者:坂口恭平
出版社:「新潮」
東京の設計事務所を辞めて郷里の熊本に戻り、そこで認知症が進んだ曽祖母の姿に直面した二十五歳の「恭平」。彼はそこで「この世にボケ老人なんか存在しな い」、彼らは「彷徨(さまよ)っているわけではなく、ちゃんと目的を持って歩いている」という信念を持つようになり、そういった老人のために「徘徊タク シー」という事業を起こそうとする。
著者の坂口恭平は、1978年生まれの36歳。建築家としても活動されています。著書には、「独立国家のつくりかた」などがあります。
なかなか魅力ある作家さんたちです。
どの作品が受賞するでしょうか。