2014年本屋大賞のノミネート作品が決定しました。
昨年11月1日から本年の1月5日まで、一次投票が行なわれ、全国479書店605人からの投票がありました。
そして、先月1月21日に、ノミネート10作品が決定いたしました。
「教場」
著者:長岡弘樹
出版社:小学館
君には、警察学校を辞めてもらう。この教官に睨まれたら、終わりだ。全部見抜かれる。誰も逃げられない。前代未聞の警察小説!
著者の長岡弘樹さんの代表作は、「傍聞き」で、2008年に推理作家協会賞を「歴代受賞作の中でも最高レベルの出来」と評され受賞。おすすめ文庫王国2012の国内ミステリー部門で第1位にもなっています。
「去年の冬、きみと別れ」
著者:中村文則
出版社:幻冬舎
ライターの「僕」は、ある猟奇殺人事件の被告に面会に行く。
彼は、二人の女性を殺した容疑で逮捕され、死刑判決を受けている。だが、何かがおかしい。調べを進めるほど、事件への違和感は強まる。そして、関係者たちの精神的な歪みが「僕」をのみ込んでいく。
著者の中村文則さんは、 「土の中の子供」で第133回芥川龍之介賞を受賞。「掏摸(スリ)」では、ウォールストリートジャーナル紙で、2012年のベスト10小説に選ばれています。
「さようなら、オレンジ」
著者:岩城けい
出版社:筑摩書房
オー ストラリアの田舎町に流れてきたアフリカ難民サリマは、夫に逃げられ、精肉作業場で働きつつ二人の息子を育てている。母語の読み書きすらままならない 彼女は、職業訓練学校で英語を学びはじめる。そこには、自分の夢をなかばあきらめ夫について渡豪した日本人女性「ハリネズミ」との出会いが待っていた。
この「さよなら、オレンジ」は、第29回太宰治賞受賞作品であり、著者岩城けいさんのデビュー作です。第150回芥川龍之介賞の候補作にもなりました。
「島はぼくらと」
著者:辻村深月
出版社:講談社
母 と祖母の女三代で暮らす、伸びやかな少女、朱里。美人で気が強く、どこか醒めた網元の一人娘、衣花。父のロハスに巻き込まれ、東京から連れてこられた源 樹。熱心な演劇部員なのに、思うように練習に出られない新。四人はフェリーで本土の高校に通う。「幻の脚本」の謎、未婚の母の涙、Iターン青年の後悔、島 を背負う大人たちの覚悟、そして、自らの淡い恋心。故郷で知った大切なこと、すべてが詰まった書き下ろし長編。
著者の辻村深月さんは、「鍵のない夢をみる」で第147回直木三十五賞を受賞。また2008年に発売された「太陽の座る場所」は、今年2014年の秋に水川あさみさん主演で映画化される予定です。
「聖なる怠け者の冒険」
著者:森見登美彦
出版社:朝日新聞出版
一 年ほど前からそいつは京都の街に現れた。虫喰い穴のあいた旧制高校のマントに身を包み、かわいい狸のお面をつけ、困っている人々を次々と助ける、その名 は「ぽんぽこ仮面」。彼が跡継ぎに目をつけたのが、仕事が終われば独身寮で缶ビールを飲みながら「将来お嫁さんを持ったら実現したいことリスト」を改訂し て夜更かしをすることが唯一の趣味である、社会人二年目の小和田君。当然、小和田君は必死に断るのだが…。宵山で賑やかな京都を舞台に、ここから果てしな く長い冒険が始まる。
著者の森見登美彦さんは「夜は短し歩けよ乙女」で、本屋大賞2位・第20回山本周五郎賞受賞。2010年に「ペンギンハイウェイ」で日本SF大賞受賞。体調不良で、2011年8月から作家の活動を一時休止。「聖なる怠け者の冒険」は、3年ぶりの長編です。
「想像ラジオ」
著者:いとうせいこう
出版社:河出書房新社
耳を澄ませば、彼らの声が聞こえるはず。ヒロシマ、ナガサキ、トウキョウ、コウベ、トウホク…。生者と死者の新たな関係を描いた世界文学の誕生。
この「想像ラジオ」は、第35回野間文芸新人賞受賞作。第26回三島由紀夫賞・第149回芥川龍之介賞の候補作でもありました。いとうせいこうさんは、シルシルミシルサンデーにも出演されていてタレント業もされている作家さんです。
「とっぴんぱらりの風太郎」
著者:万城目学
出版社:文藝春秋
天下は豊臣から徳川へ―。重なりあった不運の末に、あえなく伊賀を追い出され、京(みやこ)でぼんくらな日々を送る“ニート忍者”風太郎。その人生は、1 個のひょうたんとの出会いを経て、奇妙な方向へ転がっていく。やがて迫る、ふたたびの戦乱の気配。だましだまされ、斬っては斬られ、燃えさかる天守閣を目指す風太郎の前に現れたものとは?
この「とっぴんぱらりの風太郎」は、第150回直木三十五賞の候補作にもなりました。著者の万城目学さんは、第4回ボイルドエッグズ新人賞を受賞し2006年に「鴨川ホルモー」でデビュー。過去4回直木三十五賞の候補作に上がっています。また「偉大なる、しゅららぼん」は、岡田将生さん・濱田岳さんの主演で映画化され、来月の3月8日に公開予定です。
「村上海賊の娘」
著者:和田竜
出版社:新潮社
和睦が崩れ、信長に攻め立てられる大坂本願寺。海路からの支援を乞われた毛利は村上海賊に頼ろうとした。その娘、景は海賊働きに明け暮れ、地元では嫁の貰い手のない悍婦で醜女だった…。
著者の和田竜さんは、脚本家で、「忍ぶの城」で新人脚本家に送られる第29回城戸賞を受賞。その「忍ぶの城」を小説化し、2007年「のぼうの城」として出版。2012年には野村萬斎さん主演で、映画化もされました。
「昨夜のカレー、明日のパン」
著者:木皿泉
出版社:河出書房新社
悲しいのに、幸せな気持ちにもなれるのだ―。七年前、二十五才という若さであっけなく亡くなってしまった一樹。結婚からたった二年で遺されてしまった嫁テ ツコと、一緒に暮らし続ける一樹の父・ギフは、まわりの人々とともにゆるゆると彼の死を受け入れていく。なにげない日々の中にちりばめられた、「コトバ」 の力がじんわり心にしみてくる人気脚本家がはじめて綴った連作長編小説。
著者の木皿泉さんは、2人の共同ペンネーム。和泉務さんとその妻、鹿年年季子さんの2人で脚本を書いています。代表作は「やっぱり猫が好き」・「野ブタ。をプロデュース」など。佐藤健さんや前田敦子さんが出演していた「Q10」、薬師丸ひろ子さん・田中哲司さん主演の「しあわせのカタチ ~脚本家・木皿泉 創作の”世界”~ 」で、2年連続ギャラクシー賞受賞。(ギャラクシー賞は、日本の放送文化に貢献した優秀な番組・個人・団体に贈られる賞)
「ランチのアッコちゃん」
著者:柚木麻子
出版社:双葉社
屈託を抱えるOLの三智子。彼女のランチタイムは一週間、有能な上司「アッコ女史」の指令のもとに置かれた。大手町までジョギングで行き、移動販売車の弁当を買ったり、美味しいカレー屋を急遽手伝うことになったり。そのうち、なんだか元気が湧いている自分に気付いて……。
著者の柚木麻子さんは、2008年「フォーゲットミー、ノットブルー」で第88回オール讀物新人賞を受賞。作家デビューへ。著書の「嘆きの美女」は、昨年ドラマ化されました。
この10作品は、書店の目に付く場所に並ぶことでしょう。
二次投票は、上記ノミネート10作品をすべて読んですべてに感想コメントを書いた上で、ベスト3に順位をつけて投票。
投票資格者は、新刊を扱っている書店の書店員(アルバイト・パートも含む)です。
今月2月28日が二次投票の締め切りとなっています。
本屋大賞の発表は、4月8日。
楽しみです。
詳しくは、「本屋大賞」ホームページで⇓